中学部:物理の授業
年末に、Захирал(ザヒラル:校長)から「中学部の理科の授業に入って、アドバイスして欲しい」というお願い。
中学部の先生とは関わりもあまりないし、気が乗りませんでしたがМенежер(メネジル:教頭)から「この日大丈夫?」と予定も確認され物理の授業を参観することになりました。
目次
中学部からの理科は?
日本との違い
日本では、中学校から専科制(各教科の先生がいる)になりますが、モンゴルも同じです。ただし、理科は各分野に分科しています。
日本だとせいぜい理科1分野、2分野ですが、モンゴルでは物理、化学、生物、地学という具合です。
なので、先生たちも”物理の先生” ”地学の先生”人いった区分になっているそうです。
物理室の実験道具
思ったよりも充実していました。日本からのものもチラホラ。これは、どういう経緯でここにあるんだろう?
手作りで作った教材などもあり、素晴らしいと思いました。
今度、小学部で必要な時は借りに来よう!と心に決めた瞬間でした。
授業の内容
原子構造の話(静電気)
授業では、初めに風船が配られ「髪の毛にこすって壁に着けてごらん」と開始。
でも、成功するグループはほとんどありませんでした。
その後、パワーポイントを使って陽子、中性子、電子の話。
全然、モンゴル語でわかりませんでしたが、かなり学術的な動画でした。
グループ活動
「壁に風船が着いた(と仮定する)とき、風船と壁の電荷はどのようになっているのか?」
という問いに対して、絵を使って考えるという内容でした。
正解か間違いかという検証はなかなか難しいものですが…
子供達はよく考えてやっていました。そりゃ、悩むよなぁ。
授業後の話し合い
授業を参観していた先生たちは、自分を入れて4人でした。
授業者の先生を交えて、授業について話し合います。
そして「じゃあ、Akiから…」とふられますが、1回しか見ていないので…
「グループ活動を取り入れたのは、すごく良かった。理解していない子供も話を聞く過程で理解が深まって行く。だから、普段からどんどん取り入れて行くべきだと思う」
と言って終了。。
にはならず、「他は?」
(汗
以前に小学部の先生たち向けに話した「理科の問題解決」のパワポを使って、話をしました。
よし、終了。。
にはならず、授業者の先生が「私の授業で直すところは?」
(汗
それは色々あるけれど、モンゴル語で伝えるのには限界がある!!
しかし、話しました。(本当に、伝えるのは難しい…)
改善点1:実験の成功率
一番初めに子供達に見せる事象提示としての実験は、ある程度成功率が高いものがいいです。しかし、今回は髪の毛でこすっていたので、ほぼ成功しなかった。布などでこすればいいのでは?
→それは、もう以前にやっているから、今日は髪の毛にした。
でも、道具は同じでも扱っている内容が違うのであれば問題はないと思う。
改善点2:「教えるべきこと」と「子供達に考えさせる」線引き
今回は、原子構造を教えていたけれど、子供達が考えていたのはモノの電荷モデル。そのモデル概念を教えなければ、子供達は考えることができない。理科は、(今回であれば)物理を教えるのではなく、物理を通して考える力を育てるのです。
(この考え方は、日本の小学校理科では重視されていることです)
なので、考え方を色々な事象を通して教えて行く。
→復習をするということね。
ちょっと違うけど、まぁしないよりはマシ。考えさせる前に、一旦確認しましょう。
↑この何度も復習するといったスパイラルな学習の捉え方の違いは、以前のブログにも書きました。
改善点3:学術的すぎる資料
理科はただでさえ、言葉が難しかったり、モデル図が難しかったりします。なので、もっと子供達の実態に即した資料を提示したり、難しいところは飛ばしたりして提示しましょう。
→黒板掲示をГоё(かっこよく)するということね。
ちょっと違うけど、黒板掲示という視点は間違っていないからOK。
1日目の黒板
2日目の黒板
改善点4:授業を問題解決の過程に沿ってやりましょう
毎回同じ授業の流れでやることによって、子供達が見通しを持って授業にのぞむことができるし、それぞれの過程で考えるべき事柄、指導するべき事柄が教師側もわかりやすくなります。毎回同じ授業の流れでやるためには、それぞれの過程のカードを作って、黒板に掲示することが有効的です。
→それなら、すぐできそうね。でも、結果と結論の違いって何?
簡単にいうと、結果:実験の結果 結論:問題に対する答えです。
→結論は、授業のまとめみたいなものね。
ちょっと違うけど、問題解決の過程でやってくれたら、まずはOK。
先生「じゃあ、明日8時40分から、授業よろしくね」
?!
自分「え?俺がやるの?!」
先生「え?ちがうの?!」
次の日の授業
もしかしたら、自分が授業をやることになるかもしれないので、一応授業計画は立てて学校へ…
そしたら、先生がやる気マンマンだったので(ホッ)
前の日に話した内容を授業者の先生自身ちゃんと消化して、授業をしてくれました。
嬉しいですね。
最後に
子供達は本当によく授業を聞いていました。
日本の中学生なら「分かんね」と言って、授業を放棄する生徒もいるのに…
普段は小学部の子供相手で「はいはい、座りなさい。聞きなさい。そこ、Бөх(ブフ:モンゴル相撲)しない。」とか言っている授業とはまた違った雰囲気で新鮮でした。
この勉強に対する意欲。日本は危ないかなぁ。。
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