2年生:モンゴル語「勇敢なうさぎ?!」
日本の教師の授業力は「研究授業」と呼ばれる、授業に関する研究を現場の先生たちが行っているからだと言われているらしい。
実際に、自分も日本で研究授業の授業は、年1回の割合では受けていたし、校内でも月に1回必ず行っていた。
それは、海外でもLesson studyと呼ばれ、日本式の「研究授業」が輸出されているとか…
それは、自分の活動先でも行われています。
今回は2年生の先生がモンゴル語で校内研究授業をするということ
「アキにゴイ(最高)な授業案を聞こう」って、え?
モンゴル語の授業なんてお手上げ?
母国語の授業なんて、ネイティブの先生しかできないんじゃない?
いや、そうでもないなと今回思いました。
日本の国語の授業のイメージは…物語や説明文を読んで、その解釈を話し合う…etc.
でも、今の国語はだいぶ変わってきています。
ディベートをやったり、POP(お店の商品についている「店員さんオススメの本。泣いた!」)みたいなものを作ったり、音読劇をしたり、夏休み中のことを話したり、日記を書いたり…
母国語を使ってどう思考するか、表現するかという力を言語活動を通して、高めていく。というのが、今後の主流です。
つまり、言語を使ってどう活動を計画していくかを構想できたら、モンゴル語が小学1年生以下レベルの自分でも考えられるんじゃないか?!!
今回の授業は、かなり日本の低学年の「読むこと」領域に近しい目標を感じました。
(教科書しか読んでいないので、はっきりとは分かりませんが)
題材「勇敢なうさぎ」
教科書に詩のように書かれている短い話です。
単語の意味1つ1つはわかるけれど、肝心のうさぎが何故勇敢なのかが全くわからない(笑
ここが、やっぱり外国語の難しさか…微妙なニュアンスというもの。。
2年の先生も必死に身振り手振りで教えてくれます(笑
そして、理解した内容は以下の話…
ある森に動物さんたちが暮らしていました。
ハリネズミ、キツネ、アライグマ、クマが食事をしていました。
クマさんがちょっと席を外しました。
その隙にウサギが!!
クマさんのスープを全部飲んでしまいました。
そして、ウサギは大急ぎで家に帰り。
内側から鍵を閉めてこう言いました。
「クマ野郎のスープを飲んでやったぜ!!」
え?
「勇敢なウサギ」
順序を考えよう
提案したのが
「教材を4つの場面に分け、どのような順序になるかを考える」ということです。
そこで、先生が4つの場面の絵を描いてくれました。(マジで上手い!)
1.登場人物は誰か?
2.誰が中心人物か?
3.中心人物の動きがわかる言葉は何か?
4.いくつの場面に分けることができるか?
それは、なぜか?
今回の授業では、書かれている事柄の順序(ウサギの動詞)や場面の様子などに気づく
というところが目標ですかね。
最後に
にして、こうした研究授業を定期的に行っている活動先。
協力隊いらないんじゃね?(笑
2年生:生活科「気温と影と電気?!」
日本の教育課程は本当よく考えられているなぁと改めて感心することばかりです。
2年生の生活科の授業を行いました。
教科書を見ると、影についてやって、日なたと日陰の気温を測って、回路の簡単な仕組みをやって…
って、1つの単元の中での系統性はどうなってるの?!自分の修行が足りないのか…全部バラバラに感じられますが。。
しかも、2年生にとって難しくないかい?という内容。
ということで、まぁ自分なりに考えて単元を計画して授業をして見ました。
(これこそ今流行りの、カリキュラムマネジメント?!!)
日陰って本当に寒いの??
教科書に載っているイラストで、
日陰にいる子供「僕寒いよ」
日なたにいる子供「私は暑いわ」
(いや、この時期の格好じゃないでしょ!笑)
このイラストを子供達に見せて
「じゃあ、実際に外に行って確かめてみようか。今日は寒い、暑いを測る道具を使うよ!温度計!!」
子供達は、体温計と間違っていましたが。。
「教室の温度は何度だと思う?」と簡単に予想させると…
『40℃!』『80℃!』笑
そして、実際は28℃!
温度計一つで、これだけ食いついてくれるのは授業のやりがいがあるというものです。
教室の温度がわかったところで、外の気温の予想を聞くと…
『50℃!』『80℃!』(君たちアジアで最も寒い国に住んでるんだぞ 笑)
「教室よりも、寒い?暑い?」『寒い!』
「じゃあ、25℃より下?上?」『下!』
みたいなやり取りをして外へ…
子供達に持たせると危険(笑)なので、温度計は教師用ひとつ。
(なぜか、ギターの温度計。教科書のものと同じ)
いきなり駆け出す子もいたり。
まぁ、自由ですが最終的に戻ってきたからOK。笑
影遊び
前回と同じイラストを見せて、何で影ってできるんだろう?
あ、日向の方にも影があるね!
『太陽があるから!』
ということで、プロジェクターを使って影遊び(無理やり 笑)
紙を切ったり、手で影絵を作ったりする中で『影が大きくなったり、小さくなったりする』と気づいている子も。
そして電球
影を作るときに使った、明かりの電球。
「この中見たことある?」『ない!』『ある!』
と観察をさせ
「先生は、乾電池1つと導線2本で豆電球を点けられるよ〜。みんな挑戦してみよう!」
と色々と試行錯誤しながら、全グループ点灯させることができました。
もう、点いた時のはしゃぎっぷりは、スゴイですね。
早くできたグループには、乾電池と導線1本で考えさせました。
なかなか、面白い課題ですよね。
何をしたかと言ったら、温度計を見たり、影絵で遊んだり、豆電球点けたりしただけで、ほとんどノートを書いたり授業らしいことはしなかった。
けど、これでいいんじゃないかぁと思います。
「わぁ!」って夢中になれたら、それで今回の学習の目標は達成できたんじゃないかと感じています。
楽しくなきゃ授業じゃない!学校は楽しいところ!
教育局セミナー:日本の授業とモンゴルの授業の違いは?
チョイバルサンの教育隊員は、県の教育局で月に1回現地の先生たち向けにセミナーを行なっています。先輩隊員が何代も受け継いできているセミナーです。
モンゴルの先生たちと話をすると「日本の授業はГоё:最高だから、授業の仕方を教えて欲しい」とよく言われるのですが「いやいや、先生たちの授業もГоёですよ〜」とよく話をします。
でも、自分から見て課題はもちろんあると思っている。
なぜ自分はその課題が分かるのか?それは、日本の授業を知っているからなんです。
そこで今回は「日本の授業を見てモンゴルとの違いを考えよう」という内容にしました。
問題発見の基本は二事象比較が基本なのです!!
(ここでも、問題解決学習のクセが 笑)
モンゴルの先生たちは、モンゴルの授業しか知らない。だから、実際に自分の目で日本の授業を見て自分で考えて欲しいと思い今回のセミナーを考えました。
セミナーの内容はいたってシンプル
1.教師の仕事って何ですか?
⇒それぞれグループで出し合ってもらう。全体共有。
2.ラーニングピラミッドの説明。
⇒一斉指導ではなく、学び合いの重要性。
3.日本の算数の授業の動画(モンゴル語字幕付き)
4.モンゴルの授業と何が違ったか?そして、教師の仕事とは何か?
⇒それぞれグループで出し合ってもらう。全体共有。
5.今日の感想、次回やって欲しいセミナーの内容。
さて、モンゴルの授業と何が違ったのか?
「わからない子供に対するフォローがしっかりしている」「板書が計画的」「板書の掲示物がわかりやすい」…etc.
でもダントツに多かった意見が「話し合いの時間がとても多い」でした。
(あえて、そうした授業の動画を見せたのですが)
ただし、この「話し合いの多い授業」ただ教師が「話し合いなさい」とだけ言ったら子供達が活発に話し合うのですが、そういう学びの風土を作っていくまでの過程がめちゃくちゃ重要で大切!!
そこらへんを、徐々に話していけたらいいかなぁと思いました。
モンゴル正月、いわゆるツァガーンサル
日本で正月といえば1月1日ですが、世界には色々な正月があるんだと改めて感じます。有名なのでは、旧暦の旧正月ですね。
さて、モンゴルにも独自の正月があります。
それがЦагаан сар(ツァガーンサル:正月)
聞いたところによると、チベット仏教系の正月の日にちみたいです。
太陰暦を基にしているので、日にちは年によってバラバラみたいで、今年は(2月27日〜3月1日)結構遅めだったらしい。。
さて、そんなЦагаан сарの紹介です。
いざ、モンゴル人のお宅訪問
基本的に偉い人の家に行くそうで…
学校の校長先生の家へ行きました。
「ザヒラル(校長)の家はゴイ(最高)だ!」
とみんなが口を揃えて言っていましたが、同じ団地に住んでいるにしては部屋数もあり、なかなかゴイな家でした。
家に行くと先客の先生がいましたが、自分たちが来たタイミングで帰って行きました。
テーブルの上には、お菓子やサラダがたくさん!!
まずはその家の家長と挨拶をします。
家長が青いスカーフらしきものを持って、両腕を出しているので、年少者はその腕の下を支えるようにして「アマル バイノー」と挨拶をします。
そして、席について歓談
アーロール(乳を乾燥させた食べ物。ニオイがは、やっぱり勇気がなくて手が出ない…
Цагаан сарならではの食べ物
Боов(ボーウォ:小麦粉のお菓子)
日本の正月で言うと鏡餅のような感じですかね。
年齢に応じて高さが変わってくるそうです。また、積み方もルールがあるそうですが、いまいち聞き取れなかった。。
羊丸ごと
そして、羊丸ごと1頭。脂がすごいですね。。白いの全部脂ですよ!!
出ました、Бууз(ボーズ)
奇数が良い数字とされ、1つまたは3つを食べるのが習慣だそうです。
しかし、特に強制はされなかったからホッとしました。
ザヒラル(校長)の家では、3000個も作ったそうです。
お客さんに振る舞うために、それだけの数を作る必要があるんですね。
…にしても3000個って…
感想
先輩隊員から「Цагаан сарはБуузをエンドレスに食べさせられて、やばっかった」「Архи(アリヒ:モンゴルウォッカ)を飲まされすぎて、二日酔いがやばかった」と聞いていたので、戦々恐々としていましたが、思ったよりも強制されなかったのでよかったです。
メネジル(教頭)の家にも呼ばれたので、行ったのですが、普通に話して終わりました。
Цагаан сар終了後「なんでウチに来なかったの?」と他の先生に何回か言われましたが(自分から行くものなの?)と思いました。
また来年、帰国間際に挨拶回りを含めて行こうかなと思います。
チョイバルサンにあるОвоо(オウォー:石を積み上げた何か)
ミルクがかけられていた。これも、何か意味があるのかねぇ?
子供達の創造力を解放せよ
1年生の図工の授業に入りました。
1年生は4クラスで、活動先の学校では唯一、午前と午後の二部制をとっている学年です。
久しぶりに1年生相手に授業をして
(あ〜1年生ってこんなにも、こっちの想像を超えた行動に出るんだっけぇ 汗)
とあたふたしましたが、それもそれで楽しかったです。
さて、今回の図工では「カラフルな魚を描こう!」というテーマです。
(図工が得意な訓練所の同期にアイディアをいただきました。ありがとう!!)
めあては
1.大きく描こう
2.色々な色を使おう
3.子供達の想像力を解放せよ
語学力が全然伸びない私にとって、黒板掲示はとても大事。
「これとこれを比べて何が違う?」「こういう風に描くといいね」等
視覚的に提示していきます。(ただ単に、言葉で説明できないだけなのですが 笑)
絵が下手くそなのはご愛嬌(笑
図工は、上手下手ではないのダァ!!
1.大きく描こう
子供に「紙の中いっぱいに大きく描こうね」と言っても、せいぜいリンゴくらいの大きさしか描きません。
「自分のが入るくらいの丸を描いてね」というと、自然と大きな丸を描くことができました。それでも円が描けない子は、そばに行って「手を紙においてごらん。ここからここまで、描くと入るかなぁ?」と線を一緒に引き始めてあげると意外と描くことができました。
丸を描いたあとは「ここに目を描いて、口を描いて…あれ?魚に見えてきたなぁ〜じゃあ、尻尾も描いて…」「本当だ!」と暗示誘導していきます。
2.色々な色を使おう
「自分の持っている色鉛筆の色を全部使って、色を塗っていこうね。同じ色が続かないといいよ〜」と言って、色を塗らせました。
黒板に貼ってある見本通りに塗ろうとするので、時々工夫をしている子供を取り上げて「こりゃぁすごいなぁ!!Гоё(ゴイ:格好いい)ねぇ!」と全体で共有しました。
子供一人一人が違う魚が完成しました。
何となく味がありますね〜
こういうところが図工の面白いところだなと思います。
3.子供達の想像力を解放せよ
日本で働いている時に同僚が「図工は子供の内面を見て取ることができる」と言っていたけど、本当にそう思います。
・色を丁寧に最後まで塗り終える子
・塗り方も丁寧、大雑把…etc
・模様をつける子
・黙々と作業する子、周りの友達の塗り方が気になる子、飽きて教室の後ろでモンゴル相撲を始める子(笑
図工は子供たちに任せる部分が大きいので、その分子供達の様子がよく分かるんだと思います。
そこで、やっぱり気になったのは「自分に自信がない子」
今回入った4クラスで、主観的な印象では5割位の子供たちが描いている絵を見に行くと隠します。また、(1年生特有のものもありますが)「これで合ってますか?」「間違ってますか?」正解を求めてくる。
「大丈夫だよ」「大きく描けてるね」「カラフルだね」「かっこいいね」と一人一人声を掛けていきながら、様子を見ていきました。
「大人になるって自分のできないことを自覚していくこと」なんて言葉をどこかで聞いた気がするけど、子供のうちに「私はこれができない」ってレッテルを自分で貼ってしまうのって、すごく寂しい気がしました。
学校をそのような子供の可能性を潰す場にしてはいけないな〜と改めて感じました。
自由でのびのびとしていていいんじゃないか。むしろ、子供はそういう存在で、無理に矯正していく学校としての存在は、はるか遠くの昔に終わっているのでは?
などと、子供達の様子から色々と考えてしまった図工の時間でした。