モンゴルってどんなとこ?

青年海外協力隊(JOCV)小学校教育での奮闘記

10月 活動記録【сум ソム】

特にすることもなく、教育書や理論書を読み漁る日々。

いずれ使う時が来るだろうと、諦めてそうした知識を詰め込むようにしていた。

そんな日の午後

 

5年生の担任の先生に「いま時間ある?算数の授業を一緒に考えて欲しいんだけど」と

 

話を聞くと、明日сум(ソム:村)の学校へ行って飛び込み授業をするらしい。

しかも、それを言われたのが今日という無茶っぷり。モンゴルでは、よくある光景です。

 

早速教材研究から始めて、板書計画、模擬授業までやって終わったのは19時でした。

そして「アキも一緒に来て!」と言われたので行くことに。

 

次の日

6時30分に出発するからと言われ、6時25分に行くと予想通り誰もいない。

パラパラと集まって来たと思ったら、バスが来ず…

結局出発したのは、9時30分。

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草原の中の悪路をひたすら3時間かけてсум(ソム:村)まで行きます。

今回行く先生たちは、20人程度。そのうち、教育局の先生が2名、教頭先生が15,6人、一般の先生2人、日本人1人。

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村の学校なので、小学校〜中学校までしかありません。

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村の学校だけれども、建物はとても綺麗で、自分の活動先より…

 

学校に通う子供のほとんどが遊牧民の子供なので、寄宿舎で生活をしています。

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週末は、それぞれの親元に帰るそうです。

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バスが遅れたので、授業を始める時間も遅れましたが…

授業開始です。

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f:id:mongolia28:20161108163352j:plain自分が授業をするわけでは無いけれど、授業の流れや手立てと子供の反応が想定していたようになるかどうか…

これは、本当授業の醍醐味です。特に飛び込み授業の場合は、教師と子供たちの関係性が薄い中で、教材と発問によって授業を構成して行くので、学習計画が上手くいったかどうかが、はっきりと分かります。

ドキドキ

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今回、この授業で盛り込みたかったことは3つ

1.理科の授業でも使った、学習過程の掲示

2.子供の関心意欲を高める具体物の工夫

3.子供同士の教え合い

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今回一緒に授業を考えた先生は、自分の拙いモンゴル語を理解してくれ、授業に積極的に取り入れてくれました。ほんと感謝です。

 

今回のこの授業は、村の学校の先生たちと授業研究をすることに目的が置かれているような気がしました。なので、担任の先生たちと教育局の先生、教頭先生が後ろでメモを取りながら授業を見ています。

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授業の良かったところや改善点をメモしているのか…

とにかく、導入、展開、まとめのような授業の段階ごとにメモを取っていたような気がします。(本当、ちゃんと授業研究の仕組みができている)

 

終わった後は、授業について協議会です。

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指導案を元に、授業について突っ込んでいきます。

かなり鋭い意見も飛び出し、児童理解がしっかりできているなと感想。

今回授業で提案したかった、上記3点はなかなかの好評価でした。

 

まぁ、かなり学級がしっかり出来上がっているクラスで素直な子供が多かった点に結構救われましたが…

課題は、子供達の中での学び合いの過程を細分化することでした。

計算過程を説明させたい場面で、どうしても教師の用意している答えを子供に求めてしまう。。これを、改善する方法は

1.問題や課題をどこに設定するか

2.子供の既有知識・技能

に関わっているのではと、仮説をもっているのですが、それをモンゴル語で伝えるのが難しい…

 

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その後学校を案内してもらいました。

すると、何と日本語が…

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【整理、整頓、清潔、清掃、しつけ】と書かれた言葉と写真

いわゆる「5S」と呼ばれるものですね。

 

そして、1年生から日本語を学習しているらしくこんな教材も…

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歌も歌っているそうですが、何ぶん先生たちが日本語がわからないので、YouTubeで歌を聞いて歌詞を起こしているそう…

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その熱意に感動しました。

なので、その歌の歌詞をwordに起こしました。日本人である自分にできるささやかなお手伝いです。

 

5時近くになり(そろそろ帰るのかなぁ)と思っていると、子供たちや先生たちの出し物が始まりました。

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素晴らしい踊りや歌に、感激して…さて、帰るのかなぁと思っていたら

 

教頭先生と教育局の先生たちのプレゼンが始まりました。

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学校で進めている教育活動と今後のドルノド県の教育について(だと思う)2時間ぶっ通しのプレゼンです。

この時点でもう夜の8時…

 

やっと終わったと思ったら、校長先生から「食事を用意してますので…」

 

こうなると、出てくるのはархи(アリヒ:モンゴルウォッカ)

宴会が始まります。

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そして、今日は運が悪いことに寄宿舎には子供たちがいない…

「今日は、泊まって明日の朝帰りましょう!」なんて言い出す先生も…

(おいおい…)

そして、爆音を鳴らしながらダンスが始まったので、子供達の部屋に避難(汗

 

騒ぎたい先生たちと帰りたち先生たちとの攻防が0時近くまで行われ、結局帰ることになりました。

ほっ。

もちろん、帰りのバスの中はархи祭りになったことは言わずもがなです。

 

 

今回、初めてсум(ソム:村)に行きましたが、感想としては「思ったより過ごしやすそう」でした。

今モンゴル隊員でсумに派遣されているのは1人です。それだけ、сумは生活をする上でリスクが高いところなのでしょう。また、首都に上がるだけで大変ですし。

でも、今回行った学校では日本人を必要としていました。校長先生も「JICAはこんなсумにも派遣してくれるのかしら?2週間でもいいから、何とかして派遣してほしい」と熱望していました。

JICAの安全基準という部分と派遣需要は必ずしも一致するわけではなく、むしろそうした部分で支援が必要なところに支援されないという矛盾が生じているのでは…必要なところにちゃんと支援されているんだろうか。。

など、色々と考えさせられました。

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